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偽り
30


「うおぉぉ!」



俺は逃げていた。そりゃぁ、もう必死に逃げていた。誰もいない廊下をひたすら走って逃げていた。少なくとも5分は逃げてる俺の体力は限界に近かった。そんな俺の視界に更衣室と書かれた部屋が目に入り、何も考えず中に入って身を隠した。ドアの近くの壁に寄りかかり足音がすぎるのを待った。



「…はぁ、はぁ、」

息を殺さないといけないのに今の俺には無理なことで必死に息を整えようと頑張っていた。


「なんで、はぁ、あいつが俺を…追いかけるんだよ…はぁ…」

小さい声で言った俺はもう限界だった。
俺を追いかけていたのは言うまでもなく、あのつくもれんだ。風紀委員室で会ってからは何もなかったのに、先程出会ってしまった。俺が学園祭で使う道具を取りに職員室に向かっていた廊下でばったりと…。
そして、俺を見てにやりと笑ったつくもは走ってきた。俺は逃げた。そりゃぁ、もうスピードで逃げた。あんなやつが走ってきたら絶対逃げる。一目散に反対方向に逃げ、人通りの少ない廊下を逃げ回って、今に至るわけだ。
…俺、頑張った。

そんなことを頭の中で考えていた俺は走り疲れたせいもあっていつのまにか眠っていた。だから、近づいてきた足音に気付かなかった。




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あきゅろす。
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