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偽り
27

小清水side


「はー、びっくりした、急にどうしたんだろあの子」

ソファーに座り、さっき出ていった子の行動を不思議に思いながら一口紅茶を飲んだ。

「さぁな、どうせ九十九に驚いて逃げたんだろ」
「そうかも知れないけど、あの驚き方は尋常じゃなかったよー」

ねー、つくももそう思うよねーと後ろを振り返ってつくもを見れば、1人固まってドアの方をじっと見ていた。

「つくも?」
「……また逃げられた」

小さい声で呟いた言葉は何を言ったか俺にはわかんなかったけど、どこかつくもは嬉しそうだった。

「…さっきのやつ、なんでここにいた?」
「さっきの子?あの子は生徒手帳を取りに来たんだよー」
「……生徒手帳?」
「そっ、落とし物でね」
「……名前は?」
「え、名前?珍しいね、つくもが人の名前聞くなんて」

えーと、確か、と考えていたら、1年F組佐藤ゆずると音弥が教えてくれた。

「それだ、佐藤ゆずる!おとやんさすが」

そう言うとギロッとおとやんに睨まれたけど、笑って誤魔化しておいた。
そんな中、つくもはその名前を何度も繰り返し、風紀委員室から出ていってしまった。

「つくもどうしたんだろ」

そんなつくもの行動にはてなを浮かべ、いろいろ考えていた俺だったけど音弥のほっておけの一言で考えるのをやめ、また紅茶を飲みだした。


小清水side終わり




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