偽り
25
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「これあっちに置いといて」
「あー、そこ動かないで」
「おーい、誰かこっち手伝えよ」
今俺たちの学園は、学園祭ムードで大忙しだ。今日もクラスの出し物の準備で賑わってる。俺たちのクラスはお化け屋敷をすることになった。普通、学園祭のお化け屋敷は大したことないと思われがちだがこの学園は別だ。無駄に金をかけてるだけあって毎年凄いらしい。これは噂ではあるが準備を見てる限り間違いなさそうだ。みんな張り切ってすごいなと感心しながら、俺も地味に看板の色塗りを手伝っていた。
「頑張ってるか?」
「ヒロー!」
ヒロが飲み物を持って俺のとこにやってきた。ヒロからジュースをもらって俺たたは一息入れることにした。
「学園祭順調そうだな」
「そーだなー、俺疲れてきたよ、」
まだ始まったばかりだろと背中を叩かれ危うくペンキをこぼしそうになった。それを見て2人で笑っていたら放送がながれ、どうやら風紀委員からの放送みたいで俺たちはその放送をなんの気なしに聞いていた。
「風紀委員から呼び出しをする、1年F組の佐藤ゆずる至急風紀委員室に来るように」
以上、とぷつっと放送が切れ俺はあんぐりと口を開けたまま固まっていた。
周りでは少し騒ぎ始めている。
「ゆずる、何か風紀委員を怒らすようなことした?」
「あーあん」
「とりあえず口閉じようか」
ヒロの手によって開いていた口はなんとか閉じ、俺は頭の中でいろいろと考えていた。
「…やっぱ、あれかな?」
とヒロの方を向いて確認すると、あー、あれなと思い出したように言った。
「でもさ、あれは1週間前のことだろ?…違うんじゃねー?」
「…そうかな」
てっきりこの前あった会長の件だと思ったんだけどヒロの言う通り、あれはもう1週間前のことで今さら風紀委員が言うことでもない。じゃぁ、なんで俺を呼ぶんだ?
頭の中がだんだん混乱してきた俺にとりあえず行くしかないなと言われしぶしぶ風紀委員室に向かった。
もちろん1人で。足がとても重く感じた。…俺何言われるんだろ。
重い足を無理に動かしながら風紀委員室を目指して歩いていった。
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