それが恋、それが愛
9
「歩、そんな顔しないで…」
そう言って、俺の隣に腰を下ろした透真は俺の頭を優しく撫でた。
「……透真?」
「ごめんね、少し、取り乱しちゃった」
「………」
「大丈夫、もう聞かないから…
よし、下に降りて、ご飯食べに行こ!ね」
いつもの透真に戻ったことに安堵しながら、俺は透真と一緒にご飯を食べに、キッチンへ降りて行った。
…やっぱ、明るい透真が俺は好きだ。
****
透真side
「…スー………スー」
規則正しい寝息をたてながら寝ている歩を、僕はベッドの側からずっと眺めていた。
「……僕のとこからいなくなっちゃダメだよ…」
寝ている歩にそう言って、僕は軽く口付けをする。
そして、首のとこにも僕のものだという赤い印をつけておいた。
「…歩がいけないんだよ、僕以外の男と付き合ったりするから…」
歩の携帯を見ながらそう呟く俺は、酷く歪んだ顔をしているだろう…。
自分でもわかってはいるけど、この気持ちだけは止められない…。
携帯の画面に表示されてるのは、『椎名カイリ』と登録されてる電話帳。
この人物だけグループわけがしてあった…。
それを見たとき僕は気がおかしくなりそうだった…。
……歩は僕だけのもの。
ずっと守り続けてきたのに…。
だから…
わからせてあげるんだ。
歩には僕だけが必要だってことを…。
「……待っててね、歩…」
そう言って今度は瞼にキスをした。
―フォルダ名は『彼氏』―
…そんなの絶対、
認めない。
透真side終わり
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