[携帯モード] [URL送信]

それが恋、それが愛



「歩、遥くんってのは、もしかして、桜木遥のこと?」


電話帳に遥くんと登録されている名前に心当たりがある透真は、携帯を見ながら俺にそう聞いてきた。


「う、うん、…高校が一緒だったんだ…」

「…ふーん」


俺と遥くんと透真は小学校が一緒だった。
だから、当然、透真は遥くんのことを知っていて、そのときの遥くんだとわかった透真は気のない返事をして、また携帯を弄り出した…。



「それじゃぁ、今日、遊んだ友達って、桜木?」

「いや、遥くん……


……です」



そんなことを聞いてくる透真に、俺は咄嗟に嘘をついた。
少しの沈黙の間、おそるおそる、透真を見た。

…そう言わないと危ない気がした俺は、椎名のことを隠していた。

だけど、透真には通用しなかったらしく、にっこり笑って俺を見ていた…。



「嘘だよね」
「…はい、そうです、ごめんなさい」


これ以上、透真の機嫌を損ねたくなかった俺は、正直に嘘を認めて、謝った。



「歩だから許すけど、嘘はダメだよ」

「………はい」



「………ところでさ、




椎名カイリってだれ?」




唐突に嫌な質問された…。

心の中だけで嘆く俺は、今すぐこの場から逃げ出したかった。
だけど、逃げても無駄だと思った俺は、逃げたい気持ちを押し殺して、踏みとどまる。
必死に平然を装いながら、透真の質問に答えた。


「…………友達だよ」

「その間はなに」



見事玉砕した…。
俺には平然を装うことなんて出来ないんだ。
無駄な努力だったんだ…。1人、自分の腑甲斐なさに泣いていた俺に、透真は椎名のことをしつこく聞いてきた。



「椎名カイリとはいつから友達?」
「……高校、入って、かな…」

「じゃぁ、会ったのはいつ?」
「中学のとき…」

「1年から?」
「………た、たぶん」


「んじゃぁ、「ちょっと待って…、」



次から次に椎名のことを聞いてくるもんだから、途中でストップをかけた。



「なに?」

「あのさ…、なんで、そんなに椎名のこと、聞いてくんの…?」

「知りたいから」
「え?」


僕は歩に関わる人全員、知っておかなきゃいけないんだよ、と満面の笑みで言われて、俺は少し戸惑った。

なんで俺に関わる人、全員なのかとか、知っておく必要があるのかとか、俺にはよくわからないことばかりで、俺は少し…透真が怖いと思った…。





[*前へ][次へ#]

あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!