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それが恋、それが愛


****



「あー、まだ顔赤いよ」


1人歩道を歩いている俺は自分の顔を触りながら、ぶつぶつと呟いていた。

辺りはもう真っ暗で、誰も周りにはいない。


「……ま、なんだかんだ言って、楽しかったからいっか」


悲しかったり、恥ずかしかったりして、いろいろ大変だったけど、最終的には仲直り出来たからよかったことにした。


「また行くって約束したし」


椎名と約束したのを思い出した俺はそう言って笑っていた。
そんな感じで少し気分がよく家に帰ってきた俺は、玄関のドアをあけた。


「おかえり」
「あ、ただいま…



って、透真ぁぁぁ!?」



家の中に入った俺を出迎えたのは、ここにいるはずのない、透真だった…。

突然の透真の登場に驚く俺は、にっこり笑った透真に優しく抱きしめられた。



「……会いたかった、歩」

「…透真、なんでここに?」


俺を抱きしめたまま呟いた透真に俺は固まって動けなかった。
なんとか声を出すことが出来ただけで、今の俺は、無力だ…。



「歩、部屋に行こう?」

「…………」


俺から離れた透真は俺の手をとり、俺の部屋に歩き出す。そんな透真に俺は黙ってついて行った。




****



「…………」


俺は、ベッドの上に正座して座っている。
透真は、キャスターつきの椅子に座って、俺を見つめて笑っていた。
そんな透真が俺に手を差し出してきた。



「歩、携帯貸して」

「え、…なんで?」


「いいから、貸して?」


「けど…、」

「貸して」
「………………はい」



にっこり笑う透真に負けた俺はポケットから携帯を取出し、透真の手に置いた。

こうなった透真にはなぜか逆らえない…。
いつもは優しいのに…。



「……歩、友達たくさん出来たんだ」

「…ま、まぁ、それなりに…」

携帯を弄りながら、俺の電話帳を見て微笑む透真に、俺の声が震える。

透真はなぜか俺に友達ができるのを酷く嫌う。
だから今も笑ってるはいるけど、怒ってるんだと思う…。




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あきゅろす。
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