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それが恋、それが愛


****



「歩、…なんかあったか?」

「………」


辺りはすっかり赤く染まり、俺たちは狭い小道を2人で歩いている。

最初みたいに元気のない俺に気づいた椎名は、俺の顔を覗き込み、心配して聞いてきた。そんな椎名に対して俺は黙ったまま歩き続けた。



「…おぃ、」


椎名が俺の腕を掴み、俺はその場に立ち止まる。


「……歩、なんでそんな泣きそうな顔してんだよっ…」
「……っ…」



俺の顔を見て言った椎名に少し動揺した俺は、顔を背けた…。

俺は必死に涙を止めようと、我慢していた。

でも、やっぱり椎名にはばれてしまうわけで、俺は、ぽつぽつと思ってることを話し出した。



「……しいな、今日楽しかった?」

「………楽しかったに決まってんだろ…」

「……けど!

…椎名、全然楽しそうにしてなかった…」

「………歩…」


「俺だけ楽しんで…」


「………」


「俺だけ…「…んっなわけねぇーよ!」


いきなり叫んだ椎名に、俺は力強く抱きしめられていた。


「……好きな奴と居て、楽しいわけねぇーだろ…」


そう呟いやた椎名に、俺は顔を赤くする…。


「………けど、椎名、俺が誘っても来なかったし…」


広場でのことを思い出した俺は椎名にそう言った…。
長い沈黙の後、椎名が小さい声で話だす。



「…………笑うなよ…




俺は、……犬が、苦手なんだよ……」

「え?」


小さい声で言った椎名の言葉はしっかりと俺の耳に届いて、俺は少し驚いてしまった。

俺は椎名から離れて、椎名の顔を見た。
そこには、顔を赤くして、照れてる椎名がいた。
俺は照れてる椎名を初めてみて、自然と笑っていた。



「ふっ、」

「…歩、今笑っただろ…」

「だって、犬が苦手って…」


椎名が言ったことを思い出して、俺はまた笑っていた。
誤解が解けて、よかったと安心している自分がいて、笑わずにはいられなかった。




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