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それが恋、それが愛



「ご、ごめん!」

「…………遅い」



俺は息を切らせ、広場の前で椎名に頭を下げて謝っていた。
待ち合わせ時間を優に30分は過ぎている。
椎名は腕を組み、案の定怒っていた。


「…ごめん、ちょっと弟に捕まって…」
「弟だ?」

俺は未だ怒っている椎名に遅れた理由を話した。

俺には、8つ離れた弟がいて、その弟が一緒に行くと駄々をこね出したのが遅れた原因だ…。
俺には弟以外に兄と姉がいて、みんな俺に甘い…。
上の2人は幸い仕事で家にいなかったけど、弟に気づかれてしまい、逃げるのに時間がかかってしまった。



「……ったく、お前、どんだけ好かれてんだよ」
「………えへへ」

「笑ってんじゃねぇ」



笑って誤魔化す俺の頭を軽く叩いた椎名は、ポケットに手を入れて歩き出した。


「………行くぞ」

「あ、…うん」


俺は返事をして、椎名の後について行く。
横に並んで、チラッと椎名を見たけど、もう怒ってない様子だったから、俺は安心した。



****




「うぉぉー、かっけぇー!」


ライオンを目の前にして俺は叫ぶ。
人目なんか気にしない。

動物園にやってきた俺たちは順番に動物を見て回っていた。
俺は入ったときから興奮して、子供並みに、はしゃいでいる。
椎名はというと、俺がいるとこから数メートル離れたとこで煙草を吸っていた。動物を見てはいなかった。

そんな椎名の周りには少し、人だかりが出来ていて、それに気づいた俺は、何か気に食わなかった…。


「……ここでも人気なのかよ…」


そう悪態をつけて、椎名が見てないことをいいことに、俺はあっかんべーを椎名に向かってしていた。


そんな俺に気づいたのか、椎名は俺のとこに近づいてきた。





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