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それが恋、それが愛


****



「…椎名、この態勢はちょっと」
「…うるせぇ、黙ってそこに座ってろ…」
「………はぃ」


俺は今、非常に恥ずかしい状況にいた。

逃げ出したかった。

昨日の遥くんとの件で、昼休み屋上に呼び出された俺は、椎名に事情を説明した。

だけど、許してもらえず、罰として、椎名の前に座らされて、後ろから椎名が俺に抱きつく態勢を強いられてしまった…。

パンが非常に食べづらい…。

昼休みだったから、一応、パンとジュースを持ってきた俺なんだけど、パンを食べようか迷っていた。


「…歩、パン食べないのか?」
「え、あ、……食べる」


空腹にはかなわないもので、椎名に言われた俺はパンを食べることにした。

袋からパンを出して、食べ出す。
今日はコロネにした。


「……椎名は食べないのか?」


パンを一口食べたとこで、椎名が何も持ってきてないことに気づいた俺は、椎名に聞いてみた。


「…俺はこれでいいんだよ」


そう言ってタバコを見せてくる椎名。
、俺は自分のパンをじっと見る。


「………一口、食べる?」


俺は食べかけのパンを見せて、椎名に聞いた。

何も食べないのはよくない。


「………お前、それマジで言ってんのか…?」
「…え?……これ嫌いだった?」


「……ったく、……可愛いことすんじゃねぇ…よ」



椎名は何か呟きながら、俺のやったパンを一口かじった。
椎名が驚いて俺に聞いてきたから、てっきり嫌いなのかと思ったけど、食べてくれたから安心した。


「……歩、」
「ん?」


「さっきみたいなこと、俺以外にやるなよ…」



椎名がそっぽを向いて、そう言ってきた。
俺はよくわかんなくて、とりあえずわかったと返事をした。
そのとき椎名の耳が赤くなってるのが見えたけど、気のせいだと思って、俺は残りのパンを食べ出した。





****


「食べた、食べた」


パンを食べ終わったころにはこの態勢も慣れてきていて、俺は普通に昼休みを過ごしていた。

俺がジュースを飲んでいたとき、椎名が携帯を見せろと言ってきたから、俺は椎名に携帯を渡した。


「………どうかした?」
「歩、まだ、こいつと電話してんのか?」
「……………あ、」


椎名にこいつと言われて、俺は前のことを思い出した…。


「あ、じゃねぇよ…


ったく、俺より電話してんのが余計腹立つ…」


「………だって、かかってくるから…」
「…けど、お前も1週間に1回はかけてんじゃねぇか…」
「…かけないと怒る」

「……はぁ、」


俺の返答にため息をつく椎名は呆れていた…。



「………歩、明日俺に付き合え、」

「え?」


「どうせ…お前に言っても無駄だからな…」
「…………ごめん」



椎名は何か納得していない様子だったけど、俺のことを心配してか、そう言ってくれた。


「その埋め合わせに、明日どっか行くぞ」


「………どこに?」

「あー…お前、行きたいとこあるか?」
「動物園!」


椎名の質問に即答えた。
俺は後ろに体ごと振り返って目を輝かせながら椎名を見つめていた。


「…そんな行きてぇのか?」
「行きたい」
「…わかったよ、じゃぁ、明日1時に広場に集合な」



「やったぁぁぁぁ!」


立ち上がって、俺はそう叫んで喜んでいた。


明日が楽しみだ。




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あきゅろす。
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