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それが恋、それが愛
31*

****



「椎名っ!!」


俺は屋上のドアを勢いよく開けて、椎名を呼ぶ。


椎名は煙草を吸いながらフェンスによりかかって、グラウンドを見ていた。


「………日野っ」


俺に気づいた椎名は俺を見て立ち上がる。

俺はドアの前に立って椎名を見ていた。



「お前、俺の電」


「椎名!





俺、お前が好きだ…」


「は?」



俺は椎名をまっすぐ見て、そう言った。

めちゃくちゃ恥ずかしくなって最後は小さい声になったけど…、椎名には聞こえたみたいで、持っていた煙草を落としていた。




「………っ、お前ほんとなんなんだよ…」

「………椎名」


そう言って髪をかき回し、椎名は怒っていた。

俺はそんな椎名をただ黙って見ていた…。




「……屋上には来ねぇし、電話にもでねぇ…」


「………それは…」


「……俺、…マジでお前に嫌われたと思って、正直、焦った…」

「…………」



「…けど、…次は告白って…


………ほんと、意味わかんねぇよ、お前…」

「……しぃ、な…」




「……けど、やっぱ



お前のこと、


好きなんだよ…」



そう言って俺のとこまで歩いてきた椎名は


俺を抱き締めた。



「……しい、な…俺、」
「嘘じゃねぇよな…?」

「え?」


「さっき言ったこと、嘘じゃねぇんだろ…」

「……………うん」


抱き締められたまま椎名に聞かれ、俺は小さい声で頷いた。

恥ずかしくてまともに椎名の顔を見れなかった…。



「……あゆむ…」

「…椎名?」


「もう、逃げんじゃねぇぞ…」
「…………逃げない、と思う…」

「……なんだよそれ、」


そう言って椎名は笑って俺を見る。

そして、椎名にそっと肩を持たれ、椎名の顔が近づいてきた。



「……ちょっ、椎名な…」

「……黙って俺にキスさせろ…」
「いや、キスは…まだ、んっ」


心の準備が…。

そう言おうとした俺はそのまま椎名にキスされた。



「……んっ、…しぃ…な、」

「……歩、」

「んっ……んっ、…」

「……歩、口開けろ…」


「……嫌だ、ふっ、…ん、」


拒否した俺に構うことなく、椎名は舌を入れてきた。

「んっ…………ふっ…ん」

深く口づけしてくる椎名に俺はどうにかなりそうだった…。

苦しい…。


息が苦しくなってきた俺は、我慢出来なくて椎名の胸を叩いていた。


「……息の仕方もできねぇのか…」
「…できる、わけ…ねー…」


そう言って息を整えていた俺に、またキスしてこようとする椎名をなんとか交わす。


「……避けんなよ」

「まだ、息…が整って…

ガシャン



後ろから音がして、気になった俺は、ゆっくりとドアの方に視線を向けた。


ドアの前には慌てる遥くんがいて、俺と目が合った…。


「…は…は、る…くん…」


「………ご、ごめん、覗くつもりはなくて…」


手を頭にやりながら、俺に謝ってくる遥くんに俺は青ざめる。



「………い、いつから、そこに…?」


「………キス、らへんから…」



そう笑って言った遥くんに俺は一気に顔を赤くした。



「ぃ、……

いやだぁぁぁー!!」


俺はそう叫んでいた。

恥ずかしすぎる……。




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あきゅろす。
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