それが恋、それが愛
28
****
「ふっふっふ」
「…国語56点、数学32点、社会43点、理科44点、英語30点……」
椎名が点数を読み上げたあと、どうだ!と椎名に言った俺はとても良い気分だった。
全教科のテストが返ってきた俺は椎名に見せるため屋上に来た。
そして、椎名に30点以上の解答用紙を見せた俺はご満悦だ。
「……確かに全部30点以上だな…」
「ふっふっ、俺が頑張ればこのくらい」
「数学と英語はギリギリだけどな…」
「……うっさい、」
30点以上取ってんだからいいんだよ、と椎名に文句を言った。
「だいたい、俺がこんな点数取れること事態がすごいんだよ」
「…お前、それ自慢になってねぇよ」
「……………うっ」
「まぁ、俺の教え方が上手かったんだろ」
そう言って自分を過信する椎名に言葉が詰まる。
「……………そうだよ」
「日野…?」
「そうだよ、お前の教え方が上手かったんだよっ!」
顔を赤くしながら、叫んだ俺は、ほんとは椎名に感謝していた。
椎名の教え方は乱暴でいろいろ腹を立てていた俺だけど、椎名に教えてもらったとこばかりテストに出て、感謝せずにはいられなかった。
「怒鳴りながら褒めるなよ…」
そう言った椎名は笑っていた。
また俺の顔が赤くなる。
なん、なんだよ…ほんと。
「……はぁ、けど、これじゃぁ日野に願い言えなくなったな…」
そう言って椎名はポケットから煙草を取り出し、吸い出した。
「…あ、あたりまえだっ、そのために俺、頑張ったんだから…」
「……はぁ、つまんねぇ…」
椎名は持っていた解答用紙を見ながらそう呟いた。
「つまんねぇって…」
「……あ……」
「………椎名?」
解答用紙を見ていた椎名は、何かに気づいたのか、にやりと笑った。
嫌な予感…。
「…日野、残念だけど俺の勝ちみたいだ」
「…何言ってんだよ、俺の勝ちだろ、こうして全教科30点以上取ったんだから…」
「ここ、」
「え?」
そう言って椎名が英語の解答用紙を俺に見せてきた。
「…この答えがどうしたんだよ」
「この綴り間違ってんだよ」
「は?」
「ここはrじゃなくてl、
採点ミスだな」
「……なっ」
「英語は30点だから、2点引いて28点…この意味、わかるよな?」
「………ぅ、」
「さぁーて…、何お願いしようかな…」
「う、うそだぁぁぁぁ!!」
屋上で俺の声が響いていた…。
[*前へ][次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!