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それが恋、それが愛
27


「はぁ…数学は後回しで、次の教科やるぞ」
「…………はぃ」

「他は、何が苦手なんだよ」
「ぜん…」
「全部ってのは無しだぞ…」
「…………英語」



椎名に俺の言いたいことは読まれていて釘を刺された。
数学をする前にも、全部と答えて怒られた。

全部の何が悪い…。



「………英語か…」
「英語は嫌い…」
「嫌いでもやんなきゃ、点数取れねぇぞ」

「………そうだけど、」
「………まぁ、俺に何されてもいいって言うなら話は別だけどな」
「なっ…そんなわけあるか!」


椎名に言われ、俺はむきになって反抗した。

椎名の出した条件は、俺が全教科30点以上取ることだった。
そして、1つでも取れなかった場合は、椎名の願いを1つ聞かないといけない…。

何をお願いされるかわかんない俺は、必死に勉強しようと頑張るわけだが、どうも上手くいかない。

ほんとバカは嫌だ…。


「何お願いすっかな…」
「………変なお願いするんじゃねーぞ…」
「……例えば?」

「………き、きすとか…」

「………してほしいんだ」

「ちげーよっ……」


笑って余裕の顔をする椎名がほんと、…ムカつく。


「…まぁ、キスだけで終わればいいけど…」
「は?」


椎名が何を言ったのか理解できず、俺は固まった。


「…そんな、変な顔すんな…」
「……変、じゃねー…」

「ま、俺に変なことされたくなかったら、勉強を頑張るこったな…」


そう言ってにやりと笑った椎名に怯え、俺はそれから、真面目に勉強を頑張った。
椎名に教えてもらったり、遥くんに励ましてもらったりと、俺は必死に残り3日で5教科全てのテスト範囲を詰め込んだ。

後はテストに挑むだけ…。

頑張るぞぉぉ!!

そう、1人張り切っていた。



****



「……はぁ、俺は力つきたよ…」
「お疲れさん」



教室で椅子にだらんと腰掛けている俺は全ての力を使い果たしていた。
そんな俺を見て、遥くんが声をかけてくれた。
そして、俺にジュースを恵んでくれた。


「遥くん、ありがと」
「日野、頑張ってたもんな」
「…遥くんは、どうだった?」
「んー…、微妙だな…」


そう言った遥くんはあまり解けなかったのか、自信がないみたいだった。


「日野は?」
「ばっちし、手応えはあったよ」
「そっか、よかったな」

「30点以上は取れてるはず」
「……そんなに低いのか?」

「……俺、だから…」
「…………ごめん」


俺の言いたいことがわかったのか遥くんが謝った。
遥くんと俺ではテストの規模が違う。
普通は100点満点での計算だが、俺だけは50点満点の計算なんだ。
そう思わないと、悲しくて死ぬ。


「よし、テストも終わったことだし、帰り、ハンバーガー食べて帰るか」
「たべるたべる」


遥くんの提案で、俺たちはハンバーガーを食べに行くことになり、俺はルンルン気分で教室を出ていった。

テストは終わったし、後は返ってくるのを待つだけ。

見てろよ、椎名。
俺は絶対お前なんかにお願いなんかさせねーからなぁぁ!




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あきゅろす。
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