それが恋、それが愛
26
「…日野、何のつもりだ」
「…何も聞かないで、俺に勉強を教えて下さい」
俺は身を捨てる覚悟で、椎名に土下座していた。
残り3日しかない中、俺にはどうにもならないことだとわかった俺は、恥を承知の上、椎名に頭を下げて勉強を教えてくれるようお願いしていた。
プライドなんか知ったことか…。
「………勉強?」
「うん……」
「……それよりも、日野…土下座はやめろ」
「………はぃ…」
椎名にそう言われて、立ち上がる。
「………なんで勉強教えてほしいんだよ…」
「……3日後にテストが控えてるから…」
「あぁ、そう言えばそんなこと先生が言ってたな」
「なっ、頭がいいからってその余裕はずりー!」
「……なんだよそれ、てか日野は今日までわかんなかったのか…?」
「……………うっ」
バカだなお前、と言われ何も言い返せない自分が悔しかった。
「……まぁ、教えないこともねぇが…」
「ほんとか?!」
「……………」
目をキラキラ輝かせて椎名を見る。
そんな俺を見た椎名はそっぽを向いて髪をかき回していた。
「………椎名?」
「…………教えるよ」
「え?」
「…勉強教えてほしいんだろ」
「おぉー、椎名ありがとおぉ!」
俺は椎名の手を取ってブンブンと振って喜んでいた。
「………ただし条件つきな」
「え?」
椎名はそう言って不適な笑みを浮かべていた
俺、頼む相手、間違ったかな…。
****
「…違げぇ、ここはxを使って」
「………」
「……ってここにx使ってどうすんだよ」
「………」
「あぁー…、日野、お前、ホント馬鹿だな」
「うるさあぁぁぁい!」
空き教室で勉強を教えてもらってた俺は爆発した。
椎名に教えてもらってはいるけど、教え方が優しくない。
俺が間違えると怒るし、呆れるし、馬鹿にするしで、俺は勉強を放棄した。
「……っ、うるせぇよ」
「…………だって、わかんねーんだもん」
「はぁ…だからこうやって教えてんじゃねぇか…」
「……だって…」
「…日野、1教科目でつまずいてどうすんだよ」
「……ごめん」
放課後の時間を使って勉強を教えてもらっていた俺は、1教科目でつまずき、全然先に進めていなかった。
問題も1時間でまだ3問しか解けてない。
バカすぎる、俺…。
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