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それが恋、それが愛
25



「………桜木に言われたしな」
「え?」


小さい声で言った椎名の声は照れていた俺には聞き取れず、椎名に聞き返していた。



「………なんでもねぇよ」
「…………」


そっぽを向いてそう言った椎名はまた煙草を一本取り出し吸い出した。



「………椎名、吸いすぎるとガンになるぞ…」
「…俺のこと心配してくれてんのか?」
「…違うわい…」


俺の言ったことにそう言ってくる椎名はいつも通りの椎名で、俺はいつもみたいにムカついていた。


「……残念、まぁ、中学のときから吸ってからそう簡単にはやめられねぇよ」

「……我慢しろよ」

「……あー、お前が毎日キスしてくれるって言うんなら、煙草やめてもいいな」
「なっ、誰がするかっ…」

「……こんな風に…」
「おぉっ」


俺は椎名にいきなり腕を引っ張られ、そのまま…

軽くキスされた…。


「なっ…」
「そんくらいの距離じゃ、俺から逃げられないぜ…」


椎名は俺が離れて座っていたことに気づいていたらしく、悪戯たっぷりな顔で笑っていた。
そんな顔にムカつきながら、どうして椎名に捕まってしまったのか必死に考えていた。

「………日野、1ついいこと教えてやるよ」
「……な、なんだよ…」


「俺とお前の腕の長さは違う」


そう笑って言った椎名の意味がわかった俺は、自分の馬鹿さに呆れていた。

そして、椎名にまたキスされたことがだんだん恥ずかしくなった俺は、椎名から離れて叫びながらそこから逃げて行った。

俺のばかぁぁぁ!!




****



「そうだったぁぁぁー!!」

「日野…声、抑えて…」



俺は教室で足を椅子の上に置いて叫んでいた。
今の俺は遥くんの注意も耳に入ってこない。
そのくらい今の俺は衝撃の事実に打ちのめされていた…。


「……うぅ…」
「日野、みんな驚いてるから、とりあえず落ち着こう…」
「………ん」


遥くんに誘導されながら、椅子に座った俺は、机に突っ伏して嘆いていた。


「……うっ、あんまりだ…」
「…しょうがないよ、日野休んでたんだし…」
「……そう言ったって…」

「大丈夫、まだあと3日ある」


「3日しかないじゃんかぁぁぁぁぁー!!」



実力テストの範囲


黒板の端に書かれていた。


実力テストまで残り3日…。


嫌だあぁぁぁー!!





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