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それが恋、それが愛
23


「ふっかぁぁつ!」


校門を前にして俺は叫んでいた。
あの事故から今まで学校を休んでいた俺は今日から学校に行けることをとても喜んだ。
ホントは3日くらいで頭の怪我も治ってたんだけど、家族に心配されて念のため1週間休んでいた。


「…ホントはもっと休めって言われたんだけどね…」


俺の家族は何故か俺に対して過保護すぎて、今日学校来るのでさえ、大変だった…。

まぁ、心配してくれるのは嬉しいからいいんだけど…。


そう思いながら、俺は下駄箱で靴を履き替えていた。


「…………ぁ……」

「………姫香ちゃん…」


上履きに履き替えた俺は廊下にいる姫香ちゃんに気づいた。
姫香ちゃんも俺に気づいたらしく、すごい申し訳なさそうな顔をして立ち止まった。


「…………ひ、のく」
「足、大丈夫?」
「え?」


下を向いたまま立ち止まったている姫香ちゃんの傍まで行き、そう聞いた。
姫香ちゃんは驚き、目を泳がせていた。


「足…、挫いたって聞いたから」
「………どうして?」
「え?」


「どうして、あの時…私なんかを…助けたの…?」
「………姫香ちゃん…」


下を向いたままそう呟いた姫香ちゃんはスカートを掴んで震えていた。



「姫香ちゃん…」
「………ひのくん?」



「人を助ける理由なんて



ないと思うよ」



俺は姫香ちゃんの手を掴んでそう言っていた。
そんな俺を見つめる姫香ちゃんは、目に涙を溜めて今に泣き出しそうだった。



「え、あ…、姫香ちゃん…ちょっ……」

「………ごめんなさい、ひ、のくんごめんなさい…」

そう言って姫香ちゃんはボロボロと泣き出してしまった。
それを見て慌てる俺は、なんで姫香ちゃんが泣き出しのかわからず1人慌てていた。
周りも俺たちの異変に気がついたらしく、こそこそと話出して、最終的には俺が姫香ちゃんを泣かしたと、勝手に決められていた。
その後も何分かみんなともめていたけど、姫香ちゃんの弁解もあって、なんとかその場を和解することが出来た。

それに、最後は姫香ちゃんもみんなと笑っていたから、俺は良かったと安心した。


「………日野くん」
「姫香ちゃん?」


みんなとの騒ぎも終わり、教室に行こうとした俺を姫香ちゃんが呼び止めた。


「…………ありがと」


そう小さい声で言って、姫香ちゃんはにっこりと笑った。
それを見た俺も自然と笑っていた。



「……私、負けないから!」


そう少し大きい声で言った姫香ちゃんは、俺とは反対方向に廊下を走って行った。

そんな姫香ちゃんを不思議に思いながらも、俺は教室に行こうと歩き出した。
少し最後の言葉が気になったけど、遥くんの姿が見えた俺は、大きく手を振って遥くんのもとに駆け寄っていた。



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あきゅろす。
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