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恋は曲者




「あ、お前らのせいで、授業終わったじゃんか!あぁ、先生に悪いことしたな…」


授業終わりのチャイムを聞いた朝比奈はなぜか落ち込み自分を責めていた。

いや、朝比奈…、そう思うなら今すぐそいつらを摘み出せ。

落ち込んでる朝比奈に心の中で毒づく。



「それじゃぁ、授業も終わったし、遥斗、生徒会室来るよな?」


会長は会長で何も悪びれもなく、話を元の目的に戻した。
さすが、俺様。



「誰が行くか!それに、次の授業があるだろ!」


会長の誘いに断固拒否する朝比奈は、ただの餓鬼にしか見えなかった。
いや、会長も餓鬼だが。



「次の授業なんか、サボればいいだろ」
「そういうわけにはいかないんだよ!だから、梓は帰れ!」
「それじゃぁ、俺が許可書出せばいいんじゃないか?」


俺は耳を疑った。
バ会長は生徒会長ではあるまじき発言をしたのだ。

許可書とは先生と生徒会だけが出せる授業免除の紙だ。
この許可書があれば、授業に出てなくても授業に出席したことになる、とても便利なもの。

これは生徒会の持っている特権の一つでこんなバ会長に持たせていいのかと心底思う。

そんな便利な紙のことを、もちろん知らない朝比奈は頭にハテナを浮かべ、会長に質問していた。

会長は朝比奈の質問に答え、その説明を聞いた朝比奈は少し考えたあと、「やっぱりいかない」と言った。



行けよ、と心の中で突っ込む俺。


「…はぁ、じゃぁ、どうしたら遥斗は来てくれるんだ」


バ会長が朝比奈にそう聞くと、朝比奈はんー、と首をかしげたあと、視線が俺に移動した。

そして、朝比奈の顔が笑顔に変わる。


嫌な予感。



「高月も一緒なら行ってもいいぞ!」



この疫病神め。
俺はこのとき、朝比奈のことを本気で恨んだ。



「こいつとか?…まぁ、仕方ねー。おい、お前、遥斗がこう言ってんだ、ついて来るよな?」
「………」



…あぁ、どうして、どいつもこいつも自分勝手なんだろうか。

俺もいい加減キレるぞ。

…キレていいか?




「会長ー、れーちゃんは今とっても気分が悪いので、保健室に連れてって上げたほうがいいと思いまーす」



俺の怒りがもう少しで爆発しそうなとき、伊吹が笑いながら会長に申し出た。

その優しさは有り難いが楽しんでるのがなんかムカつく。




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