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恋は曲者
29



「はい、かしこまりました、2番テーブルスペシャルパフェお願いしまーす」

メイド服を着た男子が裏声を使って注文とる。
それを聞いた俺たち料理班がそれを分担して作っていく。
今は昼時。客も増えてきていい感じに喫茶店は繁盛していた。
…メイド喫茶というとこだけは気持ち悪くてしょうがない。


「れーちゃん、まだ体育館に行かなくていいの?」

横でパフェを盛りつけていた伊吹が、あのことについて聞いてきた。

「あー…、忘れてた…」

喫茶店が思ってた以上に忙しく、すっかり企画のことを忘れていた。

「れーちゃんのドジ」

「…うるさい」


で、今から行くの?と伊吹に言われ、言葉を濁す俺は、行こうか迷っていた。


「行かないとあとで何か言われるんかもよ?」

「……そんときは、そんときだ」

伊吹の忠告に、少し心が揺れたが、行かないことに決めた俺は、また作業を再開した。


「「「「キャーー!!」」」」

俺が作業を再開したと同時に教室にいるやつ全員が奇声を発した。教室を少し騒ぎになる。

「え、なんで芝様がここに?!」
「あー、あの無表情がたまらない」
「あぁ、僕だめ…」

いろんなとこから男たちの心境の気持ちが聞こえてきた。
その中には喫茶店に入ってきた人の名前を言ってるやつもいて、俺はゆっくりとドアに視線を向けた。


「…………ここに居たのか…」


そう無表情のまま呟いた議長は、俺のとこにまっすぐ来て、俺の腕を掴んできた。
議長のその行動にここにいた全員が驚き、またみんなが騒ぎ出す。


「……来てもらう」

俺の腕を掴んだまま俺を引っ張ってここから連れ出す議長。
周りの視線など気にしていない。顔を一切崩さず、議長は俺を教室から連れ出して行った。

…まさか議長が来るとは。

議長が来たことに驚きながら、俺は議長の後について行った…。
腕はしっかりと持たれている。




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あきゅろす。
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