鷹龍学園 腹黒鬼 ――――― ――― 「葎、もう逃げられないね。」 俺の目の前には目の笑っていない笑顔で見つめてくる朔の顔。 俺は壁に押し付けられている。 そして、至近距離に朔がいるせいで、俺は身動きが取れない。 てか、なんで俺、こんな目にあってんの?! あれか!俺が舜から逃げて、のんびり、校舎内を歩いていたのがいけなかったのか!でもよ、それはしょうがねぇんだって!俺、あんま体力ねぇから走って逃げてたら、持たねぇんだよ!だから、警戒しながらも、のんびり歩いていたんだよ!そしたら、階段のとこで朔が待ち構えてて、俺はその朔に気づかず、あっというまに捕まってしまったんだよ…。なんでだ。俺、めっちゃ警戒してたのに…。 「葎?どこか知らないとこに逝ってるみたいだけど、帰ってこようねー。」 「……。」 朔の笑顔で現実に引き戻される俺。 てか、朔が恐ぇー! 「……朔、お願いだからそこ退いて…。」 俺、お前恐い…。 「……ねぇ、葎、もしかして、さっき泣いてた?」 「えっ?」 朔が俺の目尻を撫でながらそう聞いてきた。 うそぉ?! 泣きあと残ってた?! うわっ、なんかめっちゃ恥ずかしいんだけど! だってよ、男が泣くなんてかっこ悪いだろ! あー…なんか朔に知られたのがショックだ…。 [*前へ][次へ#] [戻る] |