鷹龍学園 3 「……恭哉もそうだったんだな…。」 「……え?」 「……俺もそういうときあったからさ。」 …小さいときだったけど。 「……葎が?」 「そ、あのときは俺、ずっと泣いてな…。それに、そのときは俺も兄貴が嫌いだった…。」 「……やっぱり、みんなそう思うよな…。」 「でも、今は俺、雅兄こと好きだぜ。」 「……なんで。葎だって、ずっと苦しい思いしてたんだろ…。」 「…まぁ、そうだけど、その分、雅兄も苦しかったと思うから…。」 「…え?」 「…あのな、雅兄は俺に嫌われたことがショックだったみたいでさ、…俺に隠れて泣いてたんだって…。」 「………。」 「…そのことは母さんに聞いたんけどな、それ聞いたら雅兄も苦しかったのかなって思って…。それに、よく考えてみれば、雅兄が悪いわけじゃねぇじゃん。 雅兄だって、つらかったんだよ。…だから、泰先輩だって…」 「……それは…。 ……なぁ、…なんで、葎は兄貴のこと、そう思えるんだ…?それに、俺、今更…」 「え、んー…なんでって言われてもなぁ… だって、 俺の兄貴じゃん。 嫌いになれねぇよ。」 そう言った俺は自然と笑っていた。 たぶん、嬉しいんだ。 雅兄が俺の兄貴で。 だから、恭哉だって本当は… [*前へ][次へ#] [戻る] |