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新感覚RPG Sexual Fighter(本編)
◆勝の場合A◆
モニター画面には各職業が分類され、就職可能なものだけが光っていた。
勝はその中からテキトーに一つを選ぶ。

ケ】『うむ…性獣士の組織に就職するんだな?』

勝】『あ…あぁ』

ケ】『では手続きを行う…待っていてくれ』

そう言うとケン次郎は椅子をクルっと90度捻り横のパソコン画面と向き合う。

ケ】『こぉ――っ』

そして憤怒の様な表情で力を溜め込み始めた…

ハッキリと視認出来るほど膨大なオーラが滲み出る。

勝】『しっ…しかも赤オーラだッッ!!

これはッ…まさかッ?!』


ケ】『うぉぉおお――……

あァたたたたたたたたたたたたたァッ!

あたぁっ!!』

ケン次郎は眼にも止まらぬ早さで奇声とともにキーボードを打ち付けまくった。

あまりの早さに残像で手が三本にも四本にも見えた。

ケ】『あたたたたたたたたたたたたたぁッ

あたたたたたたたたたたたたッ

あたぁっ!
あたぁあっ!!』

凄まじい闘気…そして殺気…。

勝は完全に圧倒されながらも、眼が離せなかった。


しかし次の瞬間
ケ】『くっ…』

苦痛に顔を歪めるケン次郎…。

どうやら右手の人差し指を何かの拍子に突き指してしまったようだ…。

勝】『まずいッ!
キーを打ち込む上で利き腕の人差し指は大きな役割を持っている!!
負傷した指で大丈夫なのかぁッー?!』

勝は思わず身を乗り出した。

ケ】『ぐぁッ…』

しかし勝の心配虚しく、次の瞬間にケン次郎は力なくよろめいてしまう…

勝】『畜生…!
ここまでかッ!
ここまでなのかァッ!!』

悲痛に叫ぶ勝。

しかしそれを遮るように一人の少女が現れた。
この少女もどこか見覚えがある…。

少女】』ケーーーーンっ!!』

少女は目に涙を溜めながら、全身で叫んだ。

するとケン次郎は先程の痛みと疲労を吹き飛ばしたかのように再び状態を起こし、再び奇声と共にキーボードを打ち込み始めた。

勝】『今の少女は一体?!』

ケ】『あれは俺のすたんとさ!』

勝】『スタントなの?!』

間違いなく昔とある町で捕虜となり強いたげられていたがケン次郎により救い出され、失っていた声を秘孔により取り戻し、その後一緒に旅をしていた少女に見えたが

…スタントだったらしい。


復活したケン次郎が叫ぶ。

ケ】『勝!お前も秘孔を突くんだ!!』

そういってケン次郎は手を翳す。

光を帯びた手のひらから一枚の紙が落ちて、勝の前でピタリと止まった。
いつの間にか勝の右手人差し指には赤いインクがベットリと着いている。

ケ】『さぁ!その秘孔を押すんだ勝!!
それで全てが終わる!』

激しいラッシュの合間、険しい表情でケン次郎は叫んだ。

勝】『ああ!わかった!!』

勝は立ち上がり、覚悟を決めると力一杯に秘孔(拇印)を押した。

その瞬間に打って変わったような静寂が訪れる…。

ケン次郎は冷徹な眼差しで勝を見据え、そして言った…

ケ】『お前は既に就職している…』


どうやら手続き完了のようだ。



ひと息着くと、勝とケン次郎には奇妙な友情が芽生えていた。

勝】『俺…もう行くよ』

ケ】『気を付けろよ』

勝】『あぁ…最後に教えてくれケン次郎。

お前…どうしてここにいるんだ?』

少しの沈黙のあと、ケン次郎は遠い眼差しで語った。

宿命のライバルである兄を倒す旅をしていた事…

そしてついに決闘の時、一筋の稲妻が二人を貫いた。
その衝撃で時空の狭間に落ち、気がついたらこの世界にいたらしい…。

ケ】『しかし俺にはわかるッ!
感じるのだ!兄も…裸オウもまたこの世界にいるのを!!


だから俺は生活費を稼ぐのと平行して、最も多くの人が訪れるこの場所に就職したんだ…』

勝】『そうだったのか…』

勝は眉を潜めた。

ケ】『そんな顔をするな』

どこか優しさを含んだ目でケン次郎は言った。

そして最後に二人は固い握手をする。
言葉は必要なかった…

勝は込み上げてくる別れの切なさを噛み締めながら、部屋を後にした…。

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