新感覚RPG Sexual Fighter(本編)
◆花音さん◆
一人の女が、珍宿を闊歩していた。
ヘアースタイルはボブが伸びたような感じで、明るめの色が退色したような赤っ髪のセミロング。
背は少し高く、露出度の高い服を誇らしげに着ている。
しかし、いささか体のラインを強調しすぎた感も拭えない。
このゲームは現実の容姿を忠実に再現する。
それ故に、彼女の選んだピッタリとした生地の服は、少々太めの下腹部を晒していた。
デブと言うほどではないが、肉付きのよい太ももは、運動不足が祟った弛みが目立つ。
大きく開いた胸元には、平均より少し大きめの胸を覗かせるが、幾分下向きなため谷間はなかった。
長い前髪を掻き分けて見せる顔は、薄化粧の写真と比べると随分濃く塗りたくったアイシャドーと、妙につり上がった眉毛が目に付く。
しかしアイラインやマスカラは薄く程度にしか施されておらず、厚化粧にしろ顔は代わり映えない。
ゲームと言えど容姿は現実のまま…
それでもこれはゲームなのだ。
プレイヤー達はみんながみんな、桜のようにスレンダーではないし、藍のようなボン・キュッ・ボンでもない。
スタイルは良くても、惚乃花のように可愛いとも限らない。
だが、金稼ぎは現実より安易で楽しいし、
整形・豊胸・脂肪吸引はメスを使わず痛みも伴わない。
ボタン一つ、システムをいじるだけだ。
だからこそ、現実世界にありがちな美容整形に対する偏見もない。
使うお金だって本物ではないゲームマネーだ。
このゲームでは、少しの努力でコンプレックスを解消し、あっという間に理想の容姿になれる。
だからこそ、プレイヤーは決まって美女美男になるのだ。
逆に惚乃花たち、全くいじってないプレイヤーは珍しいぐらいだし、恵まれてると言って良い。
そうすると、他とどうみても見劣りする花音は、努力を嫌う怠慢さが現れていた。
ア】『なるほど…花音という人物像が目に浮かぶな…』
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