新感覚RPG Sexual Fighter(本編)
◆お馬さんゎ誰?◆
勝は裏方にある、従業員用のトイレに来ていた。
何故か客用に設けられたトイレが開かず、裏方のを借りたのだ。
(無論、桜が食事中のため開かなかったのだが…)
そして席へ戻る途中、酒蔵に散乱するアイテムが目に付いた。
酒蔵や倉庫を丸ごとひっくり返す酒のオーダーのせいで、イベント用に仕舞われていたアイテムの数々が散らばったのだろう。
鼻メガネやらサンタ帽子やら、ドン・キ〇ーテにありそうな珍アイテムがたくさんある。
その中に、黒馬マスクを見つけ出したのだ。
勝】『こっ…これは……!!』
かつてない衝動にかられ、馬マスクを拾い上げると、安物のプラスチックでできた瞳が寂しげに光った。
思わず目が合う…
もう…我慢の限界だった!
押し寄せる馬の誘惑に理性が揺らぐ。
この馬マスクを被りたい衝動に心がざわめく。
そうだ…おれはウマヨリじゃないか…馬並じゃない……!
勝】『俺は…
ウマヨリ マサルなんだああああああ!!!
馬並じゃねえええ〜!!!
ウマヨリなんだああああああ!!!』
勝はついに!
漆黒の輝きを放つ馬マスクを頭に被り、完全な馬と化した!
荒く猛る恍惚と激情。
勝は……無敵だっ
なんか、そーゆー気分になった。
そして、素敵なマスクを装備し上機嫌な勝は、席へ戻りがてらビールをオーダーする。
その時………どこからか敵意ある視線が背中にチクリと刺さった。
きっと対戦中の卓の誰かからに違いない。
こちらも睨み返し迫力で威嚇してやらんこともないが、勝はそうはしなかった。
今の勝は普段の勝ではない…馬マスクという最強の装備をしている今、彼はキングな気分なのだ!!
故に安い挑発に乗りはせず、あえて受け流すことで『眼中にない』アピールを高飛車に決め込んだ。
本人の中で最大限にカッコ良くかつセクシーに優雅な仕草で席に着席した。
そんなわけで、またも勝は藍に気付くキッカケを失い、本来の目的を思い出せないままだった。
戻ってきた勝の変に気取ってクネクネした動きのキモさも、
何故か馬マスク装着という異様な姿も、大人の包容力で受け入れ突っ込みを控える蓮。
勝はそれを馬マスクに敬意を示してのことと勘違いした。
ちなみにこの馬マスク、顔面から後頭部までスッポリと被り込むものなのだが、ゲーム特有の都合の良いシステムで視界は自由だし、何故か酒も普通に飲める。
この辺の妙さは、もはやみんな慣れてしまっていた。
勝】『なあなあ蓮、俺もシャンパン飲んでいいか?』
馬マスク…もとい勝が、シャンパンタワーを指差して言う。
蓮】『うむ。私もそろそ別のものを注文しようと思っていた。
ちょうどよい、全部空けてくれ』
勝】『よっしゃ!いただきまっす♪』
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