Espressivo(完結) 5 「そ、ボーカル!! TrumpのQueenがいなくて困ってんのっ あ、Trumpってのは俺がリーダーしてるバンドの名前ね。Queenはそれのボーカル、知ってるっしょ!? んで、俺は黒猫くんにやって欲しいって訳で… ってか君以外はもう無理」 再びマシンガントークの如く一方的に話し出した静也に、俺はただ茫然としていた。 「静也様〜悪いこと言わん 止めとき〜 尚樹歌うのだけは大っ嫌いやから」 つかさずフォローに入る康輝に感動を覚えたが、今はそれどころでは無い。 「無理、俺歌なんか絶対歌わねぇし。悪いけど他当たってくんねぇ?」 「ほら、速く音楽室行くよ」 俺は静也から一刻も速く離れる為に必死に平然を装うが、静也に話しを聞いた様子はない。 「離せ〜」 「速くしねぇと俺が怒られんのっ 俺練習サボって捜してたんだかんなっ」 悔しいが身長の差は歴然としていて、俺は静也に引きずられて音楽室へと行くこととなった。 後ろでは静也を止められなかった罪悪感からか、康輝が申し訳なさそうにとぼとぼとついて来る。 端から見たら凄く情けない…否、奇妙な光景だろう。 . [*前へ][次へ#] [戻る] |