Espressivo(完結) 9 翌日テレビをつけると、昨日ニュースを伝えていたアナウンサーが俺の事を話してて何だか笑えた。 俺は今、実家にいる。 実は俺の実家の一橋は意外と金持ちで、業界ではあの篠田グループの丁度下辺りに位置している、所謂大企業だ。 まぁそんな訳で家も豪華なんだけど… コンコン 「は〜い」 「尚樹さま、旦那さまがお呼びでございます」 「りょ〜かい」 お手伝いさんの言葉遣いに体中が痒くなりながら、俺は親父の書斎へと歩を進めた。 「親父〜、来た」 ノック無しに足で扉を開けて入れば、机に座る呆れた顔をした親父…基、一橋芳樹[イチハシ ヨシキ]の姿。 「ノックは諦める…だが、せめて扉くらい手で開けろ」 「あははは…」 諦めるちゃうんだ。 「まったく…」 「で、何の用ー?」 「あぁ、学校の件だが 隆が理事長をやってる桜ヶ丘学園なら全寮制だ 許可はもうとってある」 手渡される書類をぺらぺらとめくる。 「入学テストは?」 「否、編入テストだ そこに挟んである」 芳樹の言葉に俺は思わず書類を落としてしまった。 「は?入学じゃねぇの?」 「入学式で全校生徒の前で挨拶したいか? お前だと首席だぞ」 . [*前へ][次へ#] [戻る] |