Espressivo(完結) 4 「…だ、いやだいやだいやだ!! そんなことしてみなよ、僕のパパに…」 「煩いなぁ、何の為に俺が片桐さん呼んだと思ってんの?」 「仕事?腕が鳴るねぇ」 癇癪を起こし怒鳴りだす信に司が冷たく言い放ち、片桐は小さく笑うのが聞こえる。 「そうゆう事だ 会長の権限で退学は見逃してやる 喜べ、ついでにお前に対するイジメも見逃してやろう」 “一週間後学校に来れているといいがな” 最後の仕上げとばかりに静貴が高笑いをした。 会長、言ってる事が完璧に悪役… 「なんやねん、俺の出る幕あらへんがな…」 今だ高笑いを続ける静貴に溜め息をつこうとした瞬間、俺より早く康輝が盛大な溜め息をついていた。 「どしたの?」 「何かの時の為に切り札用意しとったんや」 しょぼんとする康輝に背後で仁が低く笑う気配がする。 小さく“いいざまだ”って呟いたのは聞き違いだと思いたい。 「で、切り札って?」 なんだか康輝が凄く可哀相な子に見えてきて、取り敢えず聞くだけ聞いてみた。 そしたら案の定、よくぞ聞いてくれた的な顔をする康輝の姿。 「これやねん!!」 満面の笑みを浮かべる康輝が出したのは二枚のB5サイズの紙だった。 . [*前へ][次へ#] [戻る] |