Espressivo(完結) 5 「どないしてくれんねん、俺の部屋ドロッドロや〜」 扉が開くと同時に半泣きの康輝に抱き着かれた。 長めの髪の毛が鼻に当たって擽ったい。 「どうしたんだよ」 「黙れ狼、お前が連れてきた2人が司と腹黒い会話しとんねん、責任とれやワレ」 “お陰で部屋がドロッドロや” 相変わらず康輝は威嚇しながら俺をぎゅっと抱きしめた。 「いいかげん離せ、なおは俺んだ」 「なに言うとんねん、長い間ほったらかしにしといて…よう言うわ」 「あー康輝、部屋入ろう」 黙っておくといつまでも続きそうな険悪な雰囲気に、俺は思わず口を挟んだ。 「しゃーない…ほな、入ろか」 「なんでもいいから取り敢えずなお離せよ」 ぴりぴりとした表情で会話をする二人に気付かれないように、俺はこっそりと溜め息をついた。 「司〜昨日ごめん」 「あぁ、仲直りした?」 「取り敢えず…」 「じゃラナンキュラスあげる、持ってないけど」 クスクスと笑う司に俺も思わず笑みを零した。 「晴れやかな魅力…だっけ?」 「よく覚えてんね、康輝とは大違いだ」 「何やねん、失敬な」 . [*前へ][次へ#] [戻る] |