篠田学園-1部- 4 「聞いてねぇし……」 「じゃ、行こっか」 藤村は自分で聞いたくせに俺の発言を無視して、無駄に長く広い12階の廊下を歩いて行った。 なんなんだよ… 「篠田、エレベーターの乗り方解る?」 やっと視界にエレベーターが見えた頃、藤村は変な事を聞いてきた。 「…お前、俺のこと侮辱してる?んなのボタン押して乗るだけじゃん」 少し不機嫌に答えると、藤村は“やっぱり”といった様子で溜め息をついた。 その溜め息を聞いて俺が睨みつけると藤村は慌てて口を開く。 「…実はエレベーター乗るにもカードキーが必要なんだっ」 「何処のお坊ちゃまだよ…」 訳わかんねぇし。 小さく呟くと、藤村は溜め息をついて話しを続ける。 エレベーターの前で、藤村は取り付けてある細長い溝を指差した。 「ここにカードを通すんだよ」 藤村の話しによると、カードキーをそれに通すと扉が開き、中に入れるらしい。 「無駄に金使ってるよ 中も何気に広いし……」 「世の中親馬鹿ばっかりだからじゃない?」 藤村は小さく笑うと、2と書かれたボタンを押す。 「そういえば、藤村ってクノ……久住の知り合い?」 俺が昇の名を出すと、藤村の眉間に皺が寄った。 . [*前へ][次へ#] [戻る] |