篠田学園-1部-
4
蓮Side
身じろぎ布団に潜る馨夜を見て、少しだけショックを受けた。
寝てるからべつに意味はないんだろうけど、髪を梳く手を拒絶されたような気がしたから。
それでも布団の間から微かに見える髪が震えている気がして。
馨夜が泣いている気がして。
俺は布団の上に横になり、布団ごと馨夜を抱きしめた。
「甘えてこいよ…」
頼むから。
聞こえてないってわかってるけど、でも夢で聞いててくれ。
…なんてガラじゃないこと思って、俺は続けた。
「俺を利用しろよ」
喜んで騙されてやるから。
「弱味見せろよ」
付け込んだりしねぇから。
「守るから」
何より、第一にお前を守ってやるから。
「だから………」
それ以上は続かなかった。
声が出せなかった。
震えてしまいそうで。
聞こえてないってわかってはいても、涙で震えた声なんて聞かせたくなくて。
「なんか俺、かっこわりぃ…」
呟いて、寝転がった。
目元を腕で隠して、声を殺して涙を飲んだ。
なんで俺泣いてんだよ、格好悪い。
再び溜め息をつきそうになった瞬間、俺の口は何か柔らかいものに覆われていた。
え……?
直ぐになくなったその感触は、俗に言うマシュマロの様で。
バッと体を起こし目を見開いた俺の視界に入ってきたのは、顔を真っ赤に染め毛布に包まった馨夜だった。
蓮Side...END
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