[携帯モード] [URL送信]

篠田学園-1部-
4

蓮Side


身じろぎ布団に潜る馨夜を見て、少しだけショックを受けた。

寝てるからべつに意味はないんだろうけど、髪を梳く手を拒絶されたような気がしたから。


それでも布団の間から微かに見える髪が震えている気がして。

馨夜が泣いている気がして。

俺は布団の上に横になり、布団ごと馨夜を抱きしめた。



「甘えてこいよ…」

頼むから。


聞こえてないってわかってるけど、でも夢で聞いててくれ。

…なんてガラじゃないこと思って、俺は続けた。



「俺を利用しろよ」

喜んで騙されてやるから。


「弱味見せろよ」

付け込んだりしねぇから。


「守るから」

何より、第一にお前を守ってやるから。



「だから………」


それ以上は続かなかった。

声が出せなかった。


震えてしまいそうで。



聞こえてないってわかってはいても、涙で震えた声なんて聞かせたくなくて。



「なんか俺、かっこわりぃ…」


呟いて、寝転がった。


目元を腕で隠して、声を殺して涙を飲んだ。


なんで俺泣いてんだよ、格好悪い。


再び溜め息をつきそうになった瞬間、俺の口は何か柔らかいものに覆われていた。


え……?


直ぐになくなったその感触は、俗に言うマシュマロの様で。


バッと体を起こし目を見開いた俺の視界に入ってきたのは、顔を真っ赤に染め毛布に包まった馨夜だった。




蓮Side...END

[*前へ][次へ#]

20/86ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!