篠田学園-1部-
3
不意に突然、急に、今までにないくらいスッと目が覚めた。
異常なくらいに冴えている頭に、思わず戸惑う。
ベットの中で目だけ動かし辺りを確認する。
はっきりとした視界にまず入ってきたのは、紙を見つめる蓮の姿だった。
思わずきゅっと瞳を閉じ、身じろぐ振りをして顔を布団に隠した。
今は蓮と顔を合わせたくない。
今まで避けまくってきたツケだろうか、こんな近くにいてボロを出さない自信はないが。
「ったく、何で伝わんねぇかな…」
不意に蓮の声が聞こえ、少し驚いた。
なんでそんな悲しそうな声してんだよ。
俺のこと信用してねぇんじゃねぇの…?
そっと気付かれないように薄く目を開けて蓮を盗み見る。
苦笑を浮かべ俺の髪を優しく梳く蓮がいた。
その苦笑の意味は?
なんでそんな手つき優しいんだよ。
俺馬鹿だから期待すんじゃん。
好きと気付いて、でも相手は俺なんか信じてなくて。
凹んでる時にまた優しくされた。
なんだか凄く惨めな気がして涙腺が緩んだ。
奥歯を噛み締め嗚咽を堪え、更に布団に深く潜った。
なんか、本格的にもう嫌だ。
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