篠田学園-1部-
3
蓮Side
馨夜と教会で会ってから生徒会の仕事が忙しくなり、誤解を解く間もなく数日が過ぎた。
その間も合間を縫っては馨夜の出没しそうな所に行ったりしたのだが、俺が馨夜と会うことはなかった。
意図的にか、偶然か。
恐らく前者であるだろう事に気付きながらも、俺は懲りずに教会に来ていた。
一通り探していない事を確認すると、俺は迷わず寝室に向かった。
ここ数日は忙し過ぎて睡眠不足なんだ。
教会以外の他の場所に探しに行くって手もあったのだが、それよりも疲労感の方が勝っていた。
その上いざ寝るとなると、あの時の馨夜の傷付いた顔が浮かんで眠れない。
眠れたとしても浅い眠りだけで、疲労感は募るばかりだ。
でもここなら寝る事が出来る気がする。
柔らかな枕に頭を埋め、息をゆっくりと吐き出すと俺は直ぐに眠りに落ちていた。
パタパタ
何かが近付いてくる気配に、俺は意識を浮上させた。
人前で寝る事が出来ない俺はそのままの体勢で身構える。
カチャリ
扉が開く音と共に入ってきたのは見知った、否むしろ捜し求めていた顔で。
話しかけようと上体を起こすよりはやく、男は歩き出しごく自然な流れでベッドの中に入り込んできた。
「ちょ、馨夜…」
「ん………」
声をかけるが目を覚ます様子はなく、部屋には探し求めていた男…基馨夜の寝息だけが響く。
唯一の救いは異様に広いこのベッドか、馨夜が俺にくっついてくる事は無かった。
否、男としては残念なのか?
眉間に皺を寄せ暫く考えていると、不意に馨夜の握っている紙に気が付いた。
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