篠田学園-1部-
2
「…なんで、俺…」
ここにいるのだろうか。
気が付いたら教会の中でピアノを目の前に座っていた。
蓋は閉じられたまま、小さな傷に指を這わせていた。
「夢遊病?」
俺は確か理事長室に向かっていた筈だ。
手紙を貰って、暁が慌ててて、でも何故か理事長室より教会に来たくて。
気が付いたらここにいた。
多分、無意識に教会の扉の鍵を開けてまで。
本能的にここまで来たのだろうが、でもどこか納得できない。
「あ、そっか…」
不意に、本当に突然、頭に答えが浮かんだ。
「俺、混乱してるんだ…」
いきなりいろんな事が起こり過ぎて頭がついていけてないんだ。
だから無意識に、落ち着く為に教会に来た。
そう気付いたらなんだか凄く眠たくなって、俺は2階へと足を進めた。
ブライアン神父のベットはすごく気持ちがよかった筈だ。
もしこの教会が同じ作り同じ家具なら、ぐっすり眠れる。
今は何も考えたくない。
俺は寝室の扉を開き、ベットに潜り込むと、直ぐに意識を手放した。
微かに誰かが俺を呼ぶ声が聞こえたが、それに返事する気力はなかった。
馨夜Side...END
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