篠田学園-1部-
5
「俺だったらさ〜、多分信じさせたくないのかも」
「裕樹」
「んだよ、いいじゃん。俺にも口出しさせろよ」
不意に楽観的な声が聞こえ、槇が注意する。
それでも裕樹は気にした様子すらなく、再び口を開いた。
「俺らの友達…知り合い?がさ、邦久虐めてるって気付いたら、俺もショックだけど邦久の方がショック大きいだろ?」
“俺邦久傷付けたくねぇもん”
そう言った裕樹は凄く男前で。
「…そんなもん?」
「そ〜そ〜、つか篠田大分会長に想われてんね」
「そこが総長のいいところだからね」
さらりと言った槇の表情はどこか誇らしげで、頼りがいがあった。
「…じゃ、ポジティブに考えてみよっかな」
「ネガティブになっても会長が篠田好きなのは事実だ」
「裕樹、なんか前にも増して男前だね」
溜め息をつく槇に、裕樹はニカッと笑った。
「あ〜、話し終わったなら授業始めてもいいか?」
「あ…」
「やっべ、いつの間に…」
「井上先生、どうぞ始めて下さい」
不意に声を掛けられ視線を向ければ、黒いオーラを纏った暁の姿が。
笑ってるのに怖いとか暁のキャラじゃないから。
「やっべ…」
慌てて教科書を取り出しノートを開く。
暁の授業だけはまともに受けとかないと後が怖い。
慌てて問題集と教科書も開くと、2冊の間から何か紙がひらひらと落ちた。
プリントなんか挟んどいたっけ?
疑問に思いながらも落ちた紙を拾い、さりげなく開く。
「……え?」
「?どうした、馨夜」
混乱して声をあげた俺に、暁が訝しげな顔で俺の手元を覗き込んできた。
“Dear,Butterfly”
そこには全文英語で書かれた手紙が綴ってあった。
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