篠田学園-1部-
4
「篠田はさ、総長が篠田以外の奴らにあんな風に接してるの見たことある?」
呆れたように聞かれ、少し思考を巡らせた。
蓮が他の人と話しているところを軽く想像する。
が、
「まず、他のまともな奴らと話してるところを見たことねぇ」
俺はButterflyかSILVERの奴らと話してるところしか知らない。
玲也とか慶輔とか秀とか昇とか…
あいつら相手にまともな反応を示す奴なんて、逆に見てみたいし。
そう話すと槇は小さく溜め息をついた。
「じゃあ、話し変えるけどなんで篠田は俺と裕樹の関係を聞きたかったの?」
そう聞かれて、俺は思わず硬直した。
勿論表情もそのままで。
「篠田…?」
「…んでもねぇ」
心配そうな表情を浮かべる槇を尻目に、俺の体温は急降下した。
思い出してしまったのだ。
この間の蓮の顔を。
「…もし」
「?」
「もし、槇が嫌がらせされてて…」
気が付いたら口が勝手に動いていた。
「…それの犯人が二人の知り合いで、裕樹に相談しても信じて貰えなかったら…槇はどうする?」
瞬間、槇が息を詰まらせた。
意味が分からなかったけど、そのあと直ぐに頭を撫でられたから、多分気付いたんだと思う。
「悲しいけど、取り敢えず理由を聞いてみるな」
「っでも………俺なんかよりあいつの方が信頼してるに決まってる」
小さく呟けば、槇が今日何度目かわからない溜め息をついた。
女々しいって事はわかってる。
らしくないって事もわかってるんだ。
でも、今回のこれは今まで経験した何よりも精神的に堪えた。
.
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!