篠田学園-1部-
自覚
それから2、3日が経って。
やはり有紫は俺を避けていて。
俺は心配そうに顔を覗き込んでくる槇と裕樹の視線から逃れるように、顔を外に向けた。
あの日から蓮には会ってない。
多分来週のダンスパーティに向けての準備で忙しいんだろう。
会ったら会ったで気まずいだけだろうから、そこはよかったと思う。
ただ、相談相手である慶輔が親の仕事の手伝いでいないのは辛い。
しかも玲也は生徒会の仕事で修吾は俺と蓮の関係なんて大して知らない。
勇は以っての外、忙し過ぎる。
それに助けを求めると無理するから頼みたくない。
…となると、俺に今頼る相手は皆無。
これだけの人数が候補に挙がっただけでも奇跡な俺には、他にいい相談相手なんかいるはずもなく。
「八方塞がり…」
「篠田?」
「なんでもね…」
呟いた言葉に耳聡く反応した槇に、俺は思わず溜め息をついた。
「そういえばさ〜、さっき篠田がトイレ行ってる時会長来たけど?」
「え…?」
「裕樹」
「いいじゃん、なんか会長珍しく切羽詰まり気味だったし」
槇の机に突っ伏し、顔だけをこちらに向けて裕樹は頬を膨らませている。
それを溜め息を尽きながらもしっかりと止めようとしない槇。
滅多な事がなければ蓮の失態を晒すことのない槇その様子で、蓮が余程おかしかった事が分かった。
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