篠田学園-1部-
9
《薫》
《…んだよ》
再び手錠をかけられて元の体勢に戻り、取り敢えず薫を俺の隣に寝かしてみた。
《父様裏切っちゃっていいわけ?》
《……》
薫に助けられてからずっと疑問だった事を口にすると、薫は苦い表情をした。
《俺なんかほっとけば、怪我なんかしないで済んだだろ》
《…れは、俺は!!》
ドンッと俺の頭のすぐ横を殴られる。
《俺が後継ぐのに邪魔だったから…だからいなくなってもらおうと思っただけだっ》
“だったら俺を殺せばよかったじゃん”
…なんて、薫の顔を見たらとてもじゃないけど言えなかった。
それからまた暫く経って、俺らは助け出された。
後で聞いたら一週間くらいだったらしいけど。
イギリスに行くって事でカズが薫の治療道具を買いに行った時。
それまでカズは薫の存在なんて丸無視状態で、食事すら俺の分だけだった。
任務は忠実に、与えられた仕事だけをする性分らしい。
で、カズが不在の時に玲也と勇、そしてSILVERの奴らが助けに来てくれた。
俺が玲也にメールを送ったのは正解だったらしく、薫以外の怪我人もなく実行できた。
玲也は元々カズが嫌いで、俺がいなくなったと知ったときの表情が怪しかったらしい。
平然と俺を捜すカズに惑わされながらも、俺から来たメールで確信を得た玲也は、俺の保護者でもある勇に助けを求めた。
勇はメールを元に発信源を探り、タイミングを見計らって俺らを助けた…というわけだ。
カズはというと、俺らを助けた際に勇は警察にも連絡していて、カズが帰ってきた途端に取り押さえられた。
.
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!