篠田学園-1部- 6 どれくらいの月日が経ったかわからないが、暫く経った頃。 両親は仕事の都合でイギリスへと戻る事になった。 飛行機の関係で俺もその数日後に、追ってイギリスに行かなくてはいけない。 カズは今Butterflyの副長としてNightに顔を出しに行っている。 逃げるならこのタイミングしかない。 そう思った時だった。 《俺さぁ、ぶっちゃけ兄貴邪魔なんだよね》 流暢な英語で発せられた声は、明らかに嫌悪を含んでいた。 《だからさ、いなくなってくんない?》 《ふざけんな》 ベッドに横たわる俺の直ぐ傍まで歩いてきた男…薫を俺は思い切り睨みつけた。 《誰も死ねって言ってるんじゃない、俺が家継ぐまでいなくなればいいんだよ》 にっこりと、それでいて黒さを含んだ笑みが視界に入った瞬間、俺の視界は黒で覆われた。 《なっ…》 《カズさん帰って来るまでに済ましちゃわなきゃだから、黙っててくんない?》 声と同時に聞こえたカチャカチャとした音に俺は目を丸くした。 その音は確かに、俺を不自由にしている手錠から聞こえている音で。 今この場に手錠を外せる奴は一人だけど、どう考えても有り得なくて。 《か、薫…?》 《黙ってって、後少し》 尚も聞こえ続けるカチャカチャという音に、俺は心底混乱していた。 《なん、で…?》 《ったく、黙っ………》 ガンッ 再度問い掛けた俺に返ってきた返事は銃の発砲音。 ドサッと何かが俺の上に落ちてきた拍子に外れた、目を覆っていた布。 広くなった視界に飛び込んできたのは腹を血で真っ赤に染める薫。 そして、 銃片手に小さく舌打ちしたカズの姿だった。 . [*前へ][次へ#] [戻る] |