篠田学園-1部-
5
「要さ〜ん、つれて来ましたよ」
男が玄関を開け、声を発した瞬間逃げようとした俺の腕は、別の男によってがっちりと掴まれてしまった。
「随分と長い散歩だったな、馨夜」
奥の扉から現れた男に俺は目を見開いた。
「な、で…ここ……に」
微かにやつれたその男は、確かに実父・要だった。
「カズから聞いてね、“キョウヤが見つかった”と」
にっこりと笑った要は、その表情に反して空気が重い。
「カズ、が…?」
「あぁ、知らなかったか?俺らが依頼したんだよ」
“思いの外時間が掛かったみたいだけどね”
要がニヤリと笑んだ瞬間、俺は視界が反転するのを感じた。
それからは酷かった。
目が覚めたら首が鎖に繋がれていて、与えられる食事は一日一回。
事実上監禁された部屋は窓一つなくて、時計はあるものの昼か夜かの違いすら分からなかった。
トイレと風呂、そしてベッドは備え付けで困ることはなかった。
鎖もギリギリで届くように配慮されていた。
以前の様に体を開く事を強制されたわけでもなかった。
それでも、監禁されているという事実が俺を精神的に追い詰めた。
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