篠田学園-1部-
2
出会いは至極単純。
俺が絡まれていた奴を沈めた直後、いきなり声をかけてきたのがレイだった。
「お前強ぇな〜、名前なんてーの?」
「な、に」
その頃俺はまだ日本語になんか慣れてなくて、そう聞き返すのが精一杯だった。
「あー、What is your name?」
「Why?」
一言で俺の日本語の不自然さに気付いたのか、咄嗟に英語を使ってくれた。
それも、俺が日本にきてから今日までに出会った日本人の中で一番の発音で。
俺の“何故?”に困ったのか、考えるように眉間に皺を寄せていた。
流石に悪かったかな?と思い、俺は拙い日本語を最大限活用することにした。
「冗…談、お…れ馨夜、おまえ、は?」
「あ、あぁ…俺は玲也、レイでいい」
“レイ…”と小さく反芻すれば、玲也は照れた様に視線を反らした。
それが出会い。
今考えれば玲也は十分変質者だ。
それでも日本に来てからというもの、ずっと異質扱いを受けていた俺にとっては嬉しい事だった。
それから修吾に出会って、慶輔に出会って康輝に出会って。
三人とも半ば無理矢理誘ってButterflyを結成した。
否、康輝は自分から来た。
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