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篠田学園-1部-
6

蓮Side


「Butterflyの白虎が学園に来てるよ」

「…その話、詳しく説明しろ」


龍汰が告げたその一言を聞いた瞬間、俺は龍汰を部屋に上げていた。


「詳しくって言われてもね…」


唸る龍汰の向かい側のソファーに座り、俺は次の言葉を待つ。


「暇だったから、メンバーの素行でも監察しようかと思って監視カメラ見てたんだ」

「はぁ?」


サラリと言ってのけた龍汰に、俺は声をあげていた。


「1ーAの櫻木慶輔の部屋にいる」

「朱雀か…」

「今奇襲かけられたら確実に負けちゃうね」


クスリと小さく笑う龍汰の表情は明らかにこの状況を楽しんでいる。


「笑い事じゃないだろ…」

「ふふ、でも今の状況を利用しない手はないよ」


ニヤリとした笑みを浮かべる龍汰に、俺は息をのむ。


「これ読んで」


バサッと机に置かれた何かの報告書のような束に俺は目を遣る。


「“カズ”って……こいつ、Butterflyの…」

「そ、元副長。例の事件の実行犯だよ」


一番上に書かれていた名前に、俺は顔をしかめた。


“例の事件”

半年程前に起こり、舞蝶が行方知れずになる原因を作った事件。


その実行犯がカズ…舞蝶が一番信頼してたであろう、Butterflyの副長だった。


その頃はカズがあんな事件を起こす動機すらわからなくて、ただやったという事実しか知らないままカズは警察に引き渡された。


しかしカズは4、5日留置所で大人しくしていたかと思うと、突然そこから姿を消した。

それこそ、始めから存在しなかったかのように。





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あきゅろす。
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