篠田学園-1部- 4 馨夜Side 「あ〜、やっと着いたっ」 長時間のフライト+ドライブを終え、俺は寮の入口の前でく〜っと伸びをしていた。 「おい、行くぞ」 「へ?」 不意に何かにぎゅっと腕を掴まれ引っ張られる。 まぁ、我が儘会長こと天野蓮以外には考えられないんだけれど。 「ちょっ、せめて一回部屋戻らせろよ」 「んなことしたらテメェ逃げんだろ」 「んな情けない真似すっかよ」 どんだけ信用ないんだよ、俺。 頑なに俺の腕を掴み続ける蓮に、思わず溜め息が零れた。 それでも今ここから着いて行ったら回りの目が厳しいのは事実で。 「荷物バラしたら行くから」 「…30分以内だ」 「んな無茶な…」 眉間に皺を寄せながら低く呟いた蓮はこの上なく不機嫌だ。 何の話しをするのかは分からないが、この表情のままで話されたら嫌だ。 それでも今ここで蓮の機嫌を直す方法は見付からない。 仕方なく諦めて、俺は黙って部屋へ戻る事にした。 最後に何も声を掛けなかった所為か、眉間の皺を更に深くした蓮は放置の方向で。 . [*前へ][次へ#] [戻る] |