篠田学園-1部-
3
槇Side
「へぇ、馨夜は意外と会長がお気に入りなんだ?」
突然、隣からクスクスと笑みが混じった愉快そうな声が聞こえてきた。
「有紫、誤解してんじゃねぇっつの…」
藤村有紫。
彼とは帰りのバスで隣になったからここにいるだけの関係。
仲良しだと言うわけではない。
「誤解じゃないでしょ?
馨夜は嫌いな人は何があっても絶対褒めない」
にっこりと笑みを浮かべ、馨夜の頭を撫でる有紫に思わず溜め息が零れる。
なんでそんなにはっきりと言い切れるのだろう…
ふっと有紫を見れば、これまでにないくらいに優しい表情で馨夜を見つめていた。
時々笑みに混じって垣間見える若干の腹黒さは置いといて。
「あー、俺って今お邪魔?」
「うん、邪魔かな」
「否否否、邪魔じゃない!!
寧ろ俺が寝るっ」
そう言って馨夜は突然体を前へ向けると頭から膝掛けを被り静かになった。
「図星かな、可愛い…」
“でも会長を気に入ってるってのが可愛くないなぁ…”
…と、小さく呟いたと同時に揺れる馨夜の肩。
そして、それを見て隣でクスクスと笑う有紫に、俺は本気で馨夜が気の毒になった。
槇Side...END
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