篠田学園-1部-
2
「槇…」
「また近くだね」
後ろから顔をひょっこりと出してにっこりと笑みを浮かべる槇。
俺が苦笑したのとほぼ同時に隣で慶輔が舌打ちするのが聞こえた。
「櫻木は図星かな??」
「うっせ、寝るから話し掛けんな」
むすっとした表情を浮かべる慶輔に、俺は思わず噴き出してしまっていた。
「…篠田は、総長の事どう思う?」
眉間に漕い皺を刻む慶輔に笑みを零していると、不意に真剣な声で槇が呟いた。
「総長って…会長?」
そういえば黒翼の総長で篠田学園の生徒会長ってすごいよな…
…なんて無意味に感心してみたりしたが、それは置いといて。
「ん〜、うざいし気まぐれで何考えてるか分かんない俺様…?」
「うっわ、酷いね…」
「そ…で、なんだかんだで最終的には優しい一面もある奴」
「え…?」
「不満かよ、そんな感じだろ?」
目を見開く槇に俺は思わず頬を膨らませた。
隣で慶輔が小さく反応したのは多分気の所為。
俺からみた蓮の印象なんてこんな感じだからしょうがないじゃん。
「不満っていうか……」
「へぇ、馨夜は意外と会長がお気に入りなんだ?」
見上げてみれば、小さく微笑む有紫の姿。
今日はよく頭上から声が降ってくる日だ。
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