篠田学園-1部-
3
そうそう、今更なんだが俺は今優等生だ。
正確には、優等生の格好をしている。
勇に渡された鬘と眼鏡、そして少しだけ覗いた青瞳で、どこからどう見ても優等生だ。
瞳は眼鏡があってあまり見えないし、そもそもハーフって設定だから見えても問題ない。
問題なのは、いかにして周りに真面目な優等生と信じ込ませるか、だ。
「おら、理事長室だ。次会ったら吐かせるからな」
「ご案内ありがとうございました。もう二度と会わない事を期待しておきますよ」
いつの間に着いたのか、目の前には大きな扉。
しつこい位に諦めない蓮に苛々しながら、俺は吐き捨てる様に呟いた。
「覚悟しとけ」
凄みを効かせて睨み下ろし、蓮は大きく舌打ちをして去って行った。
本当、二度と会いたくねぇ。
異様な程のスピードで遠ざかって行く蓮の背中を見て、俺は小さく溜め息をついた。
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