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篠田学園-1部-



「で、誰に聞いた?」


あれから俺はレンに門を開けて貰い理事長室に向かっていた。

勿論、レンと一緒に。

その間も俺の顔をじろじろと不躾に見ては質問を繰り返してくる。

俺は当然だんまりで、だんだんとレンの眉間の皺が深くなっていくのが手に取るようにわかる。


不機嫌を表に出して舌打ちを繰り返すレンに、俺はこっそりと溜め息をついた。






『悪い、俺日本語は得意じゃねぇんだ』


取り敢えずどうにかしてこの空気から逃げたくて、ハーフ設定を利用して逃げてみることにした。

俺は物心つく頃からイギリスに住んでいたから、ネイティブ並に英語は喋れる。

日本にきたのは14歳の時だから、正直言うと日本語の方が下手だ。

それに今のは結構早口で言ったから、高校生ごときが簡単に聞き取る事は出来ない筈。

驚いた顔をしているであろうレンを予想して顔を上げると、そこには見下すような笑みを浮かべた姿が。


『そりゃ悪かった、さっきまでペラペラ話してたからいきなり話せなくなるとは思って無かったんでな』


女の子が見たらキャーキャー言うような顔ではあるが、生憎と俺は正真正銘の男である。

嫌味ったらしくニヤニヤ笑いながら話すレンに、俺が激しい殺意を覚えたのは言うまでもない。


「話せんのかよ」

「お前こそ、とぼけてんじゃねぇよ。誰に聞いた?」


溜め息をついた瞬間、髪の毛を捕まれ無理矢理上を向かされる。

鬘ズレるだろ、コノヤロー。


「名乗りもしねぇ奴にゃ教える義理なんざないね」


キッと睨み付けレンの腕を振り払うと、人をも殺せそうな目力で睨まれた。


「天埜蓮、2年。生徒会長だ」

「そりゃ失礼しました、会長様」


俺はわざとらしく敬語を使い、右手でずり落ちた銀縁眼鏡をスッと上げた。






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