篠田学園-1部-
いざ、学園へ
前略、
Butterflyの四神の皆様。
俺は今、
お城の前にいます。
…とは言ってみたものの、実際お城なんか見えない。
いや、むしろ校舎すら見えない。
「意地張んねぇで迎え来てもらえばよかった」
俺は今、篠田学園の門の前にいる。
校門らしいんだけど、でも校舎すら見えないのだから俄かに信じ難いものがある。
「どうしろっつーんだよ…」
さっき勇から連絡があり、迎えの車を寄越すと言われたが断ってしまった。
全体的に俺が悪いんだろうけど、認めたくないのが男心というもので。
俺はその場にへなへなと座り込んだ。
ここは俺が住んでいた県内の山奥。
すぐ近くの、日常風景の一部だった山の中に、こんな所があるなんて知らなくて驚いた。
だから偶然人が通り掛かるなんて事はないし、さっき返したタクシーが戻ってくるなんて事もない。
となれば、方法は一つしかない。
「俺から、連絡するのか…?」
開く気配すら見せない巨大な門に、諦めて携帯電話を取り出した瞬間、視界の端に人影が写った。
「すみませ〜ん、この学園の方ですか〜?」
「何モンだ貴様」
近付くにつれてはっきりとする黒髪、決していいとは言えない口調。
そして聞き覚えのある低い声。
これはまずい気がする。
だってこの顔は見覚えが有りすぎる。
ここ2年、俺のブラックリストのトップを独走し続けた男だ。
「黒翼二代目、レン…」
「本当に貴様何モンだ」
小さな呟きが聞こえたのか、男…基レンは不機嫌丸だしに、低く唸った。
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