篠田学園-1部-
9
「じゃ、そろそろ帰るか」
耳元で昇が呟いたのと同時に背中が軽くなる。
あ、そうそう今更なんだけど食事は食べ終わった人から帰っていいんだ。
四泊五日のうち夕食はみんな立食パーティー風。
なんでも、学年を越えて仲良くなる為だとか…
その所為だかなんだか知らないけど、クラス別行動が全くない。
当て嵌められた班で行くところ決めてタクシー使って勝手に行くのがきまり。
毎年この班の中でカップルとか出来てるからみんな必死らしい。
…て大分話し反れたな。
「帰りたいけど俺の班、一人足りねぇ…」
俺の腕を掴み、秀や槙、有紫に声を掛けてすぐにでも帰ろうとする昇に、俺は溜め息交じりに声を掛けた。
「はぁ?誰、お前の部屋の人口密度高くなんじゃん」
「会長」
…てか、俺らの部屋来る気だったんだ。
別にいいんだけどね。
「会長って…黒翼のレン?」
「だね」
「俺がどうかしたんだ?」
不機嫌そうに眉間に皺を寄せる昇を見て笑みが零れそうになった時、俺の背後から嫌な声が聞こえた。
「本物……?」
「俺に偽者なんていないだろ」
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