篠田学園-1部-
7
『静かに、正面に注目して下さい』
突然、マイクを通した龍太の声が会場に響き渡り、ホールは水を打ったように静かになった。
『突然ですが、理事長が半日遅れて到着しましたので挨拶を頂く事になりました
仕事で忙しい筈な中来て下さったのでしっかり聞いて下さいね』
ニッコリと笑みながら告げられた言葉に刺がある様に感じるのは俺だけだろうか。
辺りを見回すと他の生徒は皆、うっとりとした表情で正面を向いている。
どこがいいんだかね…
溜め息をつきながら再度正面を見れば龍太にニコニコと話し掛けられ、苦笑する勇の姿。
「流石の初代も副会長には敵わないか〜」
「影の支配者…」
「そうとも言うな」
未だ俺にのしかかったままの昇が、顔の近くで苦笑するのが分かる。
いいね〜イケメンさんは、そんな顔もかっこいくて。
「「「「キャーーーーーー」」」」
俺が恨みがましく昇の顔を見上げていると、突然黄土色の奇声が響き渡った。
「なに?」
「初代が出てきたVv」
思わず聞くと、語尾にハートが飛んでそうなくらいに上機嫌な昇の姿。
ばたっ
あ、近くにいた生徒が昇見て倒れた。
倒れた生徒は顔を真っ赤にしながら、それでも幸せそうだった。
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