篠田学園-1部-
晩餐会
「お〜い馨夜、夕飯」
不意に扉越しに名前を呼ばれ、今更ながらここがホテルだったことに気付く。
「今行く〜」
ガチャと扉を開けて、無理矢理上昇させたテンションで満面の笑みを作った。
「夕飯なに〜??怒り過ぎて腹減った〜もう死にそ…」
「くくくっ馬鹿だー」
「うっせ」
少し大袈裟に言ってやると愉快そうに笑う秀の姿。
その隣では蓮が突っ立っていた。
「行くぞ」
「へ〜へ〜」
偉そうに呟かれた一言に半ばキレそうになりながらも、どうにか返事をして先に行く蓮の後を追う。
「…つか、一緒に行かなくてもよくね?」
「残念〜旅行中はずっと一緒にいなくちゃいけないんだな〜」
「うわ〜、最悪」
聞いてねぇし
秀は小さく呟く俺の肩に腕を回し、同じ様に耳元で呟いた。
「…ジェフリー」
「……んで知ってんだよ」
「夜な」
蓮に聞こえない様に小さな声で告げられた一言は衝撃的だった。
「じゃ、行くか〜」
「ちょっ、秀…」
俺の腕を思い切り引っ張って歩いて行く秀につられ、俺も歩き出す。
その後ろからは蓮がゆっくりとついて来た。
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