篠田学園-1部-
6
蓮Side
《おい、蓮とやら。次はどこ行くんだ》
不意に話し掛けられて驚く。
目を向けるとそこにはこちらにゆっくりと歩み寄ってくるバーナードの姿。
《お前、旅行中ずっとキョウヤと一緒か?》
目の前まで来るとぐいっと俺の肩に腕を回し、馨夜から見えないように一枚の写真を取り出した。
《なに?》
《写真》
《んなの、見ればわかる》
そこには見知らぬ家族写真。
両親に子供が一人の日本人家族だ。
あ、プラス友人らしき若い外人が一人。
《こいつら見掛けたら、キョウヤに気付かれない様に遠ざけろ》
《は?》
《分かったな、秀ってやつは多分分かってる》
バーナードは持っていた写真を俺に押し付けると軽く舌打ちした。
《秀って…》
《あく…クリスの親戚だろ?》
《あぁ、成る程》
今、悪魔って言おうとした…
黙って納得した振りはするが疑問は残る。
何故クリスの親戚で馨夜の事情を知っているのか。
このごく一般的な家族に何があるのか。
一人だけ写っていた外人は何なのか。
そして何より、何故俺にそれを伝えたのか。
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