篠田学園-1部-
危機…??
蓮 Side
「ん、く……ごめっ…な、さ…」
空港からイギリスに向かう飛行機の中、隣に座る馨夜は泣いていた。
それも、しきりにロイドとクリスの名を呼びながら。
俺の反対側ではいけ好かない先輩、秀が眉間に皺を寄せながら苦しげに馨夜を見つめている。
多分、こいつは何か知っているんだろう。
傷付いたような表情の秀を横目で確認し、溜め息をついた。
その間も馨夜は眠りながら苦しげに唸っている。
この分じゃ隣が気になって眠れないだろう。
絶対酔う。
俺は一人確信しながら、再び溜め息をついた。
案の定、イギリスの大地に足をついた時、俺は血の気が引いていた。
その後も直ぐにタクシー移動だというのは分かっていたが、一先ず自身の体調の回復を待った。
「優等生、肩貸せ」
自然とその言葉がでたのは何故だろうか。
取り敢えず馨夜の隣を確保し、俺は知らずに眠っていた。
「会長、酔い止め飲んだ?」
不意にそう問われ、否定すると口の中に苦い塊が投げ込まれた。
そして、凄く心配そうに俺の顔を覗き込んでくる。
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